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最高裁判所第一小法廷 昭和52年(オ)318号 判決

主文

理由

上告代理人西田信義の上告理由一について

所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、ひつきよう、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するものにすぎず、採用することができない。

同二について

原審が確定した事実によれば、被上告人は、本件各約束手形の満期到来以前に手形割引を原因として白地式裏書により受取人たる訴外浜谷信行から右各手形を取得し、引き続き右各手形につき手形権利者たる地位にあるものであるから、その後右各手形について原審認定のような白地部分の補充やその抹消等がなされているとしても、被上告人は本件各手形の適法の所持人として上告人に対して手形上の権利を行使することができるものといわなければならない。原判決に所論の違法はなく、論旨は採用することができない。

同三について

判決の理由としては、いかなる証拠に基づいていかなる事実を認定したかを明らかにし、かつ、認定事実に対する法律適用の結果を示せば足り、必ずしもそれ以上に事実認定の正当であるゆえんや法律解釈の論拠を説明する必要はないというべきであるから、原判決に所論の違法はない。論旨は、採用することができない。

(裁判長裁判官 岸上康夫 裁判官 団籐重光 裁判官 藤崎萬里)

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